新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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奇術探偵ジョナサン・クリーク 特別版 「悪夢の部屋」

奇術探偵ジョナサン・クリーク(ほぼ)全作レビュー】
TVシリーズ最後のシーズン4(2004年終了)から5年明けた2009年ニューイヤー・スペシャル。三代目の相方、謎解きのWebsightを運営するジョーイが登場。代替わりする毎に横幅が狭くなり、若返って、美形になっていくという(今回は普通に綺麗やん)、相方わらしべ長者のジョナサン。唯一変わらぬ条件は巨乳ってことだな。

1938年、真夏の夜。ハーバード大学の有名な遺伝学者イーライ・メンケンは、狂人の幽霊に殺されるという、いわくつきの部屋がある古い館で一夜を過ごす、という賭けに挑戦した。翌朝、彼はベッドの上に不気味な手がかりを残し、忽然と姿を消してしまう。70年が経ち、ある夜、2人の若い女性ジョーイとミナが激しい雷雨を避けるためにその館にやってくる。いわくつきの部屋で一晩を過ごしたミナは70年前の学者同様に姿を消し、ジョーイは真相を突きとめようと、ジョナサンと一緒に館の秘密を明らかにすべく解明に乗り出す。

いやあ、びっくらこいた(死語)、のフーダニット。
 
一瞬、きょとんとなってしまって、理解が遅れちゃったよ。まさか、こんな手でやってくるとはなぁ(笑)。
 
そのフーダニットに繋がるハウダニットも強烈!
本シリーズ・シーズン4の傑作トリック(第二十話「マリアの髪」)と対をなすような、見事な出来映えだと思う。こういう着想の転換を巧みに仕込んでこられると、無茶苦茶気持ち良いよなぁ。
 
一方、「悪魔の部屋」と「誘拐事件」とが全然乖離してるのは気になるところ。繋げた意味合いが無し。
しかも部屋の方は、ミステリとしては非常に有名なトリックのバリエーションだけど、誰かの意図&誘導無くしてこれを成立させるのはさすがに無理があったな。
 
ただ、やはり誘拐事件のインパクトが強烈なので、スペシャル版4本の中では、これが抜群のベスト。