新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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奇術探偵ジョナサン・クリーク 特別版 「特別な存在」

奇術探偵ジョナサン・クリーク(ほぼ)全作レビュー】
本作は2001年のクリスマス・スペシャル(シーズン3と4の間)で、このスペシャル版からマディに変わって、初めて二代目のカーラが登場。パイロット版だからというわけか、TVシリーズ版とは設定が違うよね。シリーズだと毎回事件と遭遇しなくちゃならないから、設定変更した方が都合が良かったからだろうな。

16世紀のスコットランドプロテスタントの司祭とその妻は馬車で城に運ばれ、城に入ると妻は地下室に閉じ込められてしまった。助けを請う司祭だったが、数分後、扉を開けると、妻がいたはずの場所に白骨と灰があるのみだった。舞台は現代。ある日、ジョナサンは、有名なマジシャンのアラン・カラナックのエージェント、カーラに電話をかける。理由はリハーサルにも出演料を要求するということへの抗議だった。翌朝、カーラはテレビでアラン・カラナックが女優のビビアン・ブロディとかつて夫婦であったことを知る。その後ビビアンは、撮影現場で何者かに殺された。現場の部屋は内側から鍵で閉められ、窓を開けられた形跡もなく、完全なる密室殺人だった。

密室、そして密室。強烈な謎。
 
密室殺人と密室からの人間消失。
スペシャル版だからこその贅沢な謎の連鎖攻撃。
しかもそれぞれにフーダニット、ハウダニットホワイダニットの工夫を利かせているという案配だ。
 
ってなわけで、やっぱりこれも良質なスペシャル版。
そして、やっぱり微妙に物足りなさが残るのもおんなじ。
 
密室殺人はかなり強引。あまりにも確実性に欠けるよなぁと。人間消失も細かいとこまでは推測できないとはいえ、どんな種類のことが起こってるかは想像の範疇だしね。
 
まぁ、でも、フーやホワイを含めて意表は突かれるし、ドラマ的には見事だし、間違いなく良く出来てはいるよ。