アスパラクラブのブックモニターで当たってしまったので読んでみた。
- 作者: 今野敏
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/02/05
- メディア: 単行本
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さっぱり乗れなかったのは、本書が自分にとって領域外の警察小説だったせいだけではあるまい。
3台のバスジャック同時多発事件を追うバイク部隊と来れば、緊迫感バリバリのスリリングなエンタメかと思いきや、「見てるだけ〜」のおあずけ状態で、しゃきっと目の覚める爽快感が味わえない。
でもこれが”トカゲ”の役割なんだと何度も何度もしつこいくらいに強調されてるとなると、じゃあ、そもそも”トカゲ”というモチーフがあんまし成功してるとは言えないんじゃないのという気がしてくる。
これまで誰も目を付けなかったとこだからだけじゃあ、ちょっと弱いんじゃないの。まぁ本書は二作目だから、このユニークさをしっかりとエンタメで肉付けされた一作目を受けて、少し緩んでるだけかもしれないけど。
ネットを前提とする劇場型犯罪は「たしかにあり得る」という内容ではあるが、それ以上の何かユニークな着想は感じられなかった。
新人・旧人のブンヤ二人をベースとした新旧対決という、新聞対ネットの代理戦争という側面は、融和路線がなおも進みそうで興味は感じられるが、今回は顔見せ興行で次作以降への持ち越しという雰囲気だからな。
ただ個人の携帯での検索情報が、どんな精鋭部隊よりも先頭を走っちゃうあたり、あんまりお詳しくはなさそうなので、”旧”は別にしても”新”を上手く描けるのかしらと、老婆心ながらに思ってはしまうけどね。
成長小説的な要素にしたって、本人の自覚の無い結果オーライだっただけで、それを成長したとか、リーダーとして目覚めたなんて表現には出来ないものなぁ。
色々と物足りなくて、やはり自分には無用の本だったな。5点。
う〜ん、モニター感想としては、とてもこんな風に厳しくは書けないから、こうしよう。
3台のバスジャック同時多発事件。この緊迫した状況で、過去に例を見ないユニークな着目点である”トカゲ”達は、どう動くのか。
ネットをベースとした新しいタイプの劇場型犯罪、ブンヤの新旧対決で描く新聞対ネットの代理戦争、組織の中での成長小説。
警察小説というスリリングな縦筋の中に、これらを縦横に織り交ぜた贅沢なエンタテインメント。
……歯が浮く(笑)