- 作者: 関田涙
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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期限は72時間、7人の男女が衆人環視の「檻」のなかで挑む「仇討ちゲーム」。さらにその「外側」では思いも寄らぬ事態が進行していた。あたなは、驚天の結末を予想できるか!
くはぁ、悔しいぃ〜〜 ……という爽快感。
ある程度ミステリを読み慣れた読者こそが、本書の読者にふさわしいのではないかと思う。いや勿論、そうでなくても楽しめる作品である。しかし、本作の企みの巧妙さに本当に舌を巻くのは、結構な作品で先が読めてしまっちゃうという、そういう読み巧者の人ではないかと思うのだ。
貴方がそういう人ならば、これ以上この先を読まずに、試しに挑戦してみる価値はあるかもしれない。きっと、そのうちの何割かは冒頭の私と同じような、すっきりする悔しさを味わうのではないだろうか。
(以下は若干のネタバレを含んでいます。未読の方はご注意を)
檻の内側に関しては、とにかく設定に心を奪われる。これだけのゲーム型ミステリの器を作っただけでも、本作の価値は充分だろう。ミステリのお約束という設定条件の提示なんだから、読者もそれは承知している。下手にリアリティにこだわろうとするほど逆にウソっぽくなる。ちょっと前半の言い訳は長すぎるように感じた。そこはさらっと流して欲しかったな。
解決もせっかく納得の推理なのだから、無条件に自分を除外というアンフェアさを回避した提示の仕方も可能だったのでは。ちょっと手際に疑問。
しかしながら、檻の外。一転、このお手際は見事なお手並みという他はない。ああ、やっぱりこう来たかという失望感を一瞬味合わせて、そこから叩き込むエンディング。この「失望感」を味わうかどうかが、本作の二重のみすりーどという高等技術の真の価値に触れられるかどうかを左右する。
読み切ったと思わせて、その先を行く。読者の読みを計算したその絶妙な設定の巧みさと、その為に作者が時間軸をどう操作したか気付く楽しみ、これは本年度のたしかな収穫であることは間違いない。採点は7点。
ところで表紙裏の粗筋だが、「邪魔者」という役割なんてあったっけ?