新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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(日常の謎)数式139÷3の謎

自宅から最寄り駅まで、歩いても十数分なのだが、普段は自転車を使ってる。帰り道はいつも夜だ。
ある日の帰り道、奇妙な立て札に気付いた。ライオンズマンションの前、道路脇の花壇の入り口。立て札自体は特に奇妙な代物ではない。引用したイラストにあるように、木の棒に横板を打ち付けた、よくある小さな立て札にすぎない。問題はそこに書かれた文字なのだ。

139÷3

何なのだ、これは? 脳を鍛える大人のトレーニングか? 答は「46余り1」 いやいや、きっとそんなことではない。
作成者はこの数式で何を訴えようとしているのだろう? 銀河ヒッチハイクガイドの"42"のように、これが究極の質問の答なのか?
わからない。凡人には理解不能の深い意味が隠されているのだろうか?
 
立て札は毎日そこに存在している。解けない謎を突きつけながら……
 
それから数週間、梅雨に降られて徒歩で行く、今朝の通勤路。そういえばと思い出し、花壇を通り過ぎざまに、ふと振り返ってみた。
 
 …… その瞬間、疑問が解けた ……
 
 
伏線は張っておいたはずだ。
 
「帰り道はいつも夜」 しかも自転車で通り過ぎるだけ。
 
「木の棒に横板を打ち付けた」 ほら、こんなあからさまな伏線が。
 
夜目ではその違いなど全く分からなかったのに、朝の光の中で振り返った私の目に、はっきりと映ったもの、それは……
 
 
 
 
 
 
    「釘の頭かよぉ〜〜〜〜〜〜っ!」
 
横板が二本の釘で打ち付けられていたのだ。
「139÷3」という数式ではなかった。「139-3」という記号だったのだ。「わる」でも「まいなす」でもない、ただの「はいふん」
これならまぁ理解できる。なんらかの区分けを示していただけなのだろう。具体的な意味はわからなくても、特に不思議に思うことはない。あまりにも紛らわしい箇所に、釘の頭が二つ見えていただけだったんだ。
 
こんな単純な罠に何週間も引っかかっていたとは。
誰にも悟られることのないよう、心の中だけで呟いてみた。
    「名探偵にはなれないや」
#いや、ま、別に目指していたわけでもないんだけどね。