新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ブラック・ジャック(OVA) カルテⅠ~Ⅵ

'19/06/14 チャンネルネコ放映分。

ブラック・ジャック ~Blu-ray BOX~

ブラック・ジャック ~Blu-ray BOX~

  • 出版社/メーカー: オデッサ・エンタテインメント
  • 発売日: 2014/04/17
  • メディア: Blu-ray
 
出崎統の画と、どの作品でも常に陰鬱な雰囲気は、個人的に好きくない。
気分まで滅々としてしまうからなぁ。
 
ブラックジャックだって、原作は様々なタイプの作品があるのに、
出崎統の手にかかると、全てが鬱々な作品ばかりになってしまう。
 
この6作の中にだって、救いのある作品もあるのだけど、
全くもって爽快感皆無の、鬱滅な作品ばかりに思えてしまう。
 
この6作の中でのベストは、カルテIII「マリア達の勲章」だな。
長編映画のようなストーリー性と、哀切なラストの描き方が良い。
第2位はカルテV「サンメリーダのふくろう」で。
記憶にまつわる奇譚をベースに描かれる、孤高の天才ゆえの孤独。
第3位はカルテI 「流氷、キマイラの男」で。
医学物としての面白さは、カルテIVもいいが、これがベストかなと。
 

赤い部屋異聞

赤い部屋異聞

赤い部屋異聞

 
縛りとしては比較的ゆるめのオマージュ短編集。
 
趣向の統一があるわけでもなく、元ネタも多種多彩で、
なんとなくテーマ感をもって集めた短編集という趣かも。
 
それだけに、各作品毎に「細断されたあとがき」として、
短編読み終えたら即、その元ネタや著者の意図した趣向などが、
自己解説されていくのは、本書を味わうにはたしかにベストの形式。
しかもこれ自体もオマージュになってるってのも素敵。
 
個人的にはやはり元ネタの素材を使って、同工異曲的な作品を
作り上げるタイプのオマージュ作品よりも、
のりりん本来の評論家気質が発揮される、元ネタに新たな解釈を
見出そうとしている作品の方に心惹かれる。
 
その意味でベストは「葬式がえり」。
ありがちな幽霊話である怪異譚に、意表を突き、
なおかつ筋の通ったミステリ的解釈を与えてくるところが圧巻。
第二位は表題作。
ただでさえ完成度の高い元ネタを踏まえて、それを突き抜けた先に、
新しい解釈を付け加えようとするなんて、とても意欲的な作品。
第三位は「最後の一撃」。
オチが見え見えになってしまう作品集の中にあるよりも、
こうして単独で切り出した方が断然映える作品だった。
 
採点は7点だな。
 

カッティング・エッジ

カッティング・エッジ

カッティング・エッジ

 
これだけシリーズを重ねても、相変わらずとも言える、
でっかいどんでん返しに驚かされてしまう。
 
ただ今回は、推理よりも一足先に、犯人側の描写でネタを割る展開が多く、
真相の提示の仕方としては、ベストではないように感じてしまった。
 
最後の最後に明らかになる真相も、内外問わず頻繁に使用される趣向なので、
もう驚きと云うよりは、ちょっと食傷気味の感触を覚えてしまう。
 
ラストシーンの引きに繋がってるので、是非とも次作で締めて欲しいものだ。
 
とはいえ、やはりこれだけの構図の転換を見せつけてくれるのは、
やはり流石としか言いようがないので、採点はやはり8点。
 

時を歩く

 
現代作家ならではというべきか、従来の時間物のイメージの範疇に収まらない作品ばかり。
それぞれの矜持とチャレンジ精神の表れか、よくぞここまでユニークな作品が集まったと思う。
 
一番オーソドックスな時間物に一見思える冒頭の松崎作品だって、
それを見せ球として、予想できないくらいひねったくせ球を放ってきてるしな。
 
どの作品も独自の読み応えとオリジナリティがあって、良質のアンソロジーだと思う。
なかなか手を出す機会を逸してはいるが、現代日本SFも悪くなさそうだな。
 
ベストは、八島游舷「時は矢のように」で。
ゼノンのパラドックスを具現化してみせた着想にしびれる。
第二位は石川宗生「ABC巡礼」で。
これを時間物と呼べるかどうかは疑問ではあるが、
不条理な話がどことなくユーモアに包まれていく雰囲気がもうたまらん。
第三位は久永実木彦「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」で。
時間物の王道の一つを見事に現代風にアレンジしている。
 
これらの他にも、門田充宏「Too Short Notice」は
最後の言葉の表現が違ってたら、一位にもしてたかもしれない
ロマンチックな作品だったし、
高島雄哉「ゴーストキャンディカテゴリー」も、
悠久な時間軸の持ち込み方が素敵だったし、
松崎有理「未来への脱獄」も、ホワイダニットに直結する
ホワットダニットの意外性を味わえた。
時代物には食指が動かない自分としては、
空木春宵「終景累ヶ辻」のみはピンと来なかったけど。
 

シカクいア○マをマルくする

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三連休の初日は妻と町田に買い出しに出かけて、夕方から妻の宿題のお手伝い。
まとめてラミネートされた漢字カードを切り離して、子供が怪我しないように、
角を丸く切り取るんだけど、この作業が大変すぎて、気が遠くなる。
しかもカードは1,000枚を軽く越えていて、角の数はおそらく5,000箇所くらい。
 
三連休の中日は妻を誘って、新宿で開催中の天野喜孝のファンタジー・アート展へ。
予約していくとクリアファイルもらえるという、太っ腹な特典付き。
さすがに美麗な展示会。
 
で、勿論即売会を兼ねてるわけで……
 
カップルや夫婦者を明らかにターゲットにしてるようで、
売り込み攻勢かけられたけど、買うつもりも余裕も無いので、早々に退散。
数十万円から数百万円まで、それを300~400部くらい刷ってるようですね。
印刷後に天野先生自身で全数チェックを入れて、サイン入れて出すんだとか。
 
最終日はこれを買いに、午前中のうちに町田まで歩きing。
もう文明の利器に頼らないと、果てしなく終わりが遠いことがわかったので。

サンスター文具 コーナーカッター かどまるPRO S4765036

サンスター文具 コーナーカッター かどまるPRO S4765036

  • 発売日: 2012/01/17
  • メディア: オフィス用品
このおかげで、ようやくアクマ的とも思えたような5,000もの角を全制覇。 
 
というわけで本日のタイトル。日能研の回し者ではありません。