新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ルパン三世 プリズン・オブ・ザ・パスト

'19/11/29 日本テレビ初回放送分。

ルパン三世 プリズン・オブ・ザ・パスト [Blu-ray]

ルパン三世 プリズン・オブ・ザ・パスト [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2020/02/19
  • メディア: Blu-ray
 
おお、これはなかなか面白かった。
 
前半の脱獄レースがユーモラスで愉しい。
(まぁここは明らかにお子ちゃま向けを意図したレベルではあったけど)
でも、様々な泥棒キャラで、短い泥棒コントを積み重ねて、
それを脱獄成功の必然性の拠り所とするのは、なかなか上手い工夫だと思う。
 
後半はがらっとステージが変わって、
王国と監獄の謎にシリアスに迫る展開。
監獄の真相は結構ハードな内容だったり。
 
五エ門と謎の剣士(バレバレなのはお約束)の邂逅の顛末も良かったが、
彼のそもそもの存在意義への言及があったのには驚かされた。
「そもそもの」と云えば、とっつぁんのそもそもの設定を
思い出させてくれた特技披露のシーンは、秀逸すぎる名画面かと。
 
TVスペシャル版としてはかなり上位に入る作品だと思う。
 

ルパン三世 グッバイ・パートナー

'19/11/26 日本テレビ放送分。'19年1月に初回放送された作品。

ルパン三世 グッバイ・パートナー [Blu-ray]

ルパン三世 グッバイ・パートナー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: Blu-ray
 
なんか意外に次元の恋ばなって多いような気もしてしまうな。
ヒルで、縁遠そうなのなにね。
だからこそかえって、作り手としては描きたくなるってことなのかな。
 
TVスペシャル版で、あれこれと詰め込んだせいか、
ブツの盗みのシーンのあまりにもな雑さには、引いてしまった。
どこでも潜入員の不二子ちゃん抜きで、
こんな勝手知ったる系のぞんざいさはあんまりだよなぁと。
 
AIっておまえ全然わかってないやろな、わけわかんなさも
も一つ引いた要素だったかなぁ。
 
でも、その辺にぐっと目をつぶれば、
全体の流れとしては悪いわけではないので、
TVスペシャルとしては、どちらかといえば満足できた方かも。
 
まさかのカリオストロ展開とかもね、ちょい嬉しい。
 

弾丸ティアドロップ 1~2巻(完)

弾丸ティアドロップ(1) (アフタヌーンKC)

弾丸ティアドロップ(1) (アフタヌーンKC)

弾丸ティアドロップ(2) <完> (アフタヌーンKC)

弾丸ティアドロップ(2) <完> (アフタヌーンKC)


「このミステリコミックが大好き」でチェックした作品、三作目。
 

好きになった人は殺し屋だったーー!!
高校生・七瀬カオルに舞い降りた恋、
それは超危険で、いばらの道すぎるものだった。
闇の組織の一員である彼女・みゆきを奪い取るため、
七瀬は次々と無謀な作戦にうって出る!
二人に結ばれる日は来るのか!?
四季賞出身の俊英が描く
青春ジェットコースター・ラブストーリー!!

 
まるで映画のような、起承転結が明快で、
スピード感のあるプロットとアクション。
 
で、ベースはボーイミーツガールもの。
 
わずか2巻の中に濃密に様々な要素が詰め込まれ、
比較的良質のエンタメとして愉しめた作品。
 

変身のニュース

変身のニュース (モーニング KC)

変身のニュース (モーニング KC)

 
「このミステリコミックが大好き」でチェックした作品、二作目。
 

妄想癖が悪化し、兄弟の手に負えなくなってしまった妹。大切に思っているはずなのに、煩わしいと感じてしまう人間の矛盾に迫った『水平線JPG』。ある日、死んだ恋人からとんでもないプレゼントが届く『ダンくんの心配』や、爆弾魔の孤独を描いた『成人ボム 夏の日』等、煌めく九編を収録。

 
これはなかなか気持ち良い短編集だった。
 
一つ一つがユニークで、ちょっと不思議で、
そして、どこか切ない物語。
 
表紙絵では伝わらないと思うが、
画の雰囲気も作風と合っていて、とても良い感じだ。
 
ミステリ漫画というレッテルを貼るのはふさわしくないが、
ホワットダニットやホワイダニットは味わえる。
 
個人的なベストは「飛んだ車」かな。
ホワットダニットに魅了される、切ない夫婦物。
第二位は「水平線JPG」
無表情が語り出すエミリの表情に泣かされる。
第三位はストーリー性の高さを買って
「成人ボム 夏の日」で。
 

ヴォイニッチホテル 1~3巻(完)

ヴォイニッチホテル 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

ヴォイニッチホテル 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

ヴォイニッチホテル 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

ヴォイニッチホテル 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

ヴォイニッチホテル 3 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

ヴォイニッチホテル 3 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

 
ミステリマガジン2017年7月号の特集「このミステリコミックが大好き」で
チェックして買った作品の漫画評を、三日続けて書いてみることにする。
 

ゆったりとした雰囲気漂う南の小島に建つホテル。 魔女に悪魔に殺し屋に。 一癖も二癖もあるようなキャラクターたちが織りなす、 ちょっと奇妙な群像奇譚!!

 
「一癖も二癖も」どころではない、癖が凄すぎる登場人物達。
「ちょっと奇妙」どころではない、かな~り奇妙な群像奇譚。
うん、「奇譚」って表現は、本書にはぴったりだな。
 
なんとも言いようのない読後感。
グロテスクなのに、いっそ清々しかったり、
独特な毒気とのどけさに包まれる、不思議なお話。
 
好きとも嫌いとも言えないし、
う~ん、これは自分には語りきれない作品だ。