TSUTAYA西友町田店でレンタルした新作4本のうちの2本目。
「オッペンハイマー」を抑えて、アカデミー脚本賞を受賞した作品。
夫の転落死は事故か、自殺か、妻による殺人か、を巡る裁判劇。
第一発見者である息子は事故による視覚障害で目が見えない。
脚本賞受賞作だし、何かどんでん返しが待ち受けているか、
そこまでではなくとも、心に染みる切ない真相だとか、
心をざわつかせる残酷な真相だとか、
とにかくきっと何かが待っているに違いないと見続けたのだけど、
何も無かった。
裁判劇の最後の最後で、証言台に立つ息子の新証言というものが、
きっと大きな波乱を巻き起こすのだろうと期待したのに……
結局息子の視覚障害というのも必然の要素だとも思えなかったしな。
この結構秀逸かもしれない邦題が暗示するように、この落下事件を通じて、
夫婦の間に存在していた葛藤が炙り出されていく展開ではあるが、
それだけで魅せるには弱い作品だったんじゃないかと思う。
夫の方とは違って、結局この妻の方の心持ちが解剖仕切れているとは思えなかったしな。
(ひょっとしたら、これこそが本作の裏の真相を示唆する企みなのかもしれないけど。
というか、こういうふうな憶測を許す余地を残していること自体は明らかに狙いだろう)
ミステリ者ならではの誤った期待を抱いてしまった自分のせいだと思うが、
フラストレーションが残ってしまった作品だった。