新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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惑星9の休日

辺境の小さな星、“惑星9"に暮らす人々のささやかな日常を描いた連作短編集。

 
というわけでSFなんだけど、大半の作品がSFである必然性が無いものばかり。
普通に日常の話のようにも思えてしまう。
 
なので、ベストに選ぶとしたら、本書で唯一ちゃんとSFっぽい
「衛星の夜」一択になってしまう。
これは揺るぎよう無いところだな。
SFとしてはありがちすぎる(腐るほどある)着想の作品ではあるんだけど、
この静かで透き通った切なさ感。良い作品。
 
第二位は凍り付いた町の少女という設定が魅力的な冒頭の表題作で、
第三位は本書で唯一の見開き頁が心地良い「それはどこかへ行った」で。
 
ただ、シンプルな線画の雰囲気も心地良く、
意外に浸っていてもいいかなと思える作品ではあったかな。