新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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少年と犬

 
原作は未読。
 
馳星周直木賞受賞作を「星守る犬」でバズった村上たかしがコミカライズした作品。
 
「男と犬」「泥棒と犬」「女と犬」「老人と犬」「少年と犬」の
全五編で構成されている。
 
一冊で完結してる作品としては、非常に良質の作品。
 
「その犬はー いつも南を見ていた」から始まる物語は、
その犬を狂言回しに、最後の「少年と犬」に繋がるように、
様々な人間模様に彩られていく。
 
一つ一つが強く胸を打つわけではないし、
泣かせるための最終話だって、感涙を強制するような話でもない。
 
その最終話に至るまでの四話で犬自体が直接話に絡んでこないのが、
この雰囲気を形作っているように思う。
帯の言葉にあるように「寄り添う」ってのがいいのかな。
 
しんみりと満足感を与えてくれる、読後感の良い作品だった。