吸血鬼は夜恋をする
伊藤典夫が初めて単独編纂した同タイトルのアンソロジイ(ショートショート23編)に、
〈SFマガジン〉〈奇想天外〉の掲載作9編を追加した、全32編。
「理屈抜きで楽しんでいただけるような小品を選ぶよう心懸けた」と、
翻訳者あとがきにあるように、ちょっとした時間にちょこっと楽しめる作品ばかり。
傑作アンソロジーという風に構えないで、気軽に手にするのが良いだろう。
ショーショートばかりで、32編と数が多いので、
恒例のベスト3だけでなく、ベスト5、ベスト10も選出してみよう。
まず、ベストはこのわずかな金額の贈り物が、ホントに洒落まくっている
アーサー・ポージス「一ドル九十八セント」で決まり。
第二位はロマンチック度は少し足りないけど、やはりこの人、
ロバート・F・ヤング「魔法の窓」
第三位は本書中一番泣けるクロード・F・シェニス「ジュリエット」だな。
あの名作のパロディに苦笑してしまうウィル・スタントン「バーニイ」に、
読者の想像を刺激するW・ヒルトン・ヤング「選択」を加えてベスト5。
ベスト10入りの残り五作品は以下収録順に。
リチャード・マシスン「死線」
ウォルター・S・テヴィス「受話器のむこう側」
マン・ルービン「ひとりぼっちの三時間」
エドガー・パングボーン「良き隣人」
ウォルター・S・テヴィス「ふるさと遠く」