本書には、あなたへの挑戦状が含まれています。
『紅蓮館の殺人』『透明人間は密室に潜む』の阿津川辰海と
『楽園とは探偵の不在なり』『廃遊園地の殺人』の斜線堂有紀が
「あなたへの挑戦状」というテーマで小説を書いて競い合う!
てっきり読者への挑戦状だと思ってしまうやん。
ずるいっ!
『「あなたへの挑戦状」というテーマ』という表現も異議あり!
本書は阿津川辰海、斜線堂有紀の二人がお互いに謎だけを出し合い、
その謎を解決する作品を競作する、という主旨。
そういう趣向だというだけで、テーマがそれなわけではない。
ましてや読者は全然関係ないので、誤解無きよう。
袋とじも期待しないように。提出された謎が書かれてるだけ。
そもそも本書中に掲載されてるんで、全くの無意味では?
出来はそれぞれそこそこ。
良い!ってわけでも、ひどい!ってわけでもない。
阿津川辰海「水槽城の殺人」はこねくり回しすぎたかな。
まぁ余分と思えるところも、犯人特定のロジックに
組み入れてるなど、工夫はされてるけど。
斜線堂有紀「ありふれた眠り」は謎の解決法としては、
身も蓋もないくらいそのまま。
ただ真実が見えてくるところの心情の描き方は良かった。
本作りとしてのうっすら詐欺感もあって、採点は6点どまり。