入れ子細工の夜
「透明人間は密室に潜む」に続く第二短編集。
今回もまた本格の魅力を多面的に見せてくれる作品集。
それぞれにどこかツイストも盛り込んでいて、
本格にこだわりの無い読者をも楽しませる仕様になっている。
全般的にはユーモラスさもアップして、より一般仕様になっている。
本格性も薄く拡がってる感じなので、個人的評価は前作の方が上。
ベストは心情的には「探偵~スルース~」オマージュの
表題作にしたいところだけど、最後の入れ子が余計に思えて、
なんか読後感がすっきり来なかったので、
ここはやはり怪作「二〇二一年度入試という題の推理小説」にしてみよう。
こういう形でバカミス(ある種のアンチミステリとも言えるかも)を仕掛けてくる、
アイデアと形式とユーモア(特に大学側の作意解のしょぼさ)に脱帽。
採点は7点。