パラレル・フィクショナル
著者お得意の特殊設定SFミステリ。
当初予知夢が運命決定論的なのか、可変なのかってとこが、
ちょっとあやふやな感じがして違和感を覚えてしまった。
そんなのとっくの昔に実験して確定させているだろうにって。
複雑に入れ子構造になってたところがわかった時には、おっと思わせてくれたけど、
そんなには仕掛けとして機能してなかったのが、ちょっと筋の悪さを感じた。
複雑と言えば、この家族の相関関係が、異常なまでに複雑。
家系図にしおり挟んで、何度も開いて確認する羽目に。
犯罪の構造も色々と複雑な割には、
ミステリとしてカタルシスを覚えるような要素は少なかった。
そのくせ、この作者の特長の一つでもある、後味の悪さはしっかり効いているから。
一見期待させてくれるんだけど、さほどでもなく、採点は6点。