基本的には毎年読んでる傑作選だが、これも読み逃していたらしい。
この年の「ベスト本格ミステリ」はどんなんだったんかいなと、
自分の書評見直してみたら、なんとこの年は初収録作家ばかり。
それでいて比較的高評価だった。
一方こっちは比較的お馴染みさんばかりという印象。
小粒なのは毎年のように書いてることだし、ミステリ風味の薄い作品が多いのも、
こっちのシリーズとしては標準仕様な気もするけれど、
何となくバラエティ感もあって、読み物としてそう悪くなかったかも。
ベストは本書唯一のド本格、東川篤哉「春の十字架」
これだけ多作の中でも、やはりなんのかんのと本格ミステリとして
心地良い作品を送り出してくれるのは流石。
ベスト本格の方に入ってなかったのは、初収録作家にこだわったせいかな。
第二位は薬丸岳「不惑」で。
こっちのシリーズの方は、必ずホワイダニットの秀作が入ってるものだが、
本書ではこれ。若干不自然さは覚えてしまうけれども。
第三位は西澤保彦「恋文」で。
こういう推理の応酬から、ちょっとだけ意外なところまで、
引っ張っていくフォーマットは、いつものごとくの巧みな手さばき。
こちらもギリ7点確保で。