マスカーワールド 石ノ森章太郎恐怖アンソロジー
単品もいくらでもありそうな気がするんだけど、
あえてシリーズ物の中から意図的に選んでいるのだそうだ。
そういうセレクトなので、さほど恐怖感の強い作品は無い。
裏表紙に書かれている「陰のホラーワールド」という言葉通り、
「陰」の要素の強い作品集といったところが妥当だろうか。
そういう選者の意図のきっかけとなった作品だという、
変身忍者嵐「蜜蜂の羽音は地獄の子守唄」が、やはり本書のベスト。
これは原初的な恐怖を感じさせてくれるし、
陰鬱なムードに終始しながらも、切ない余韻をも感じさせる秀作。
第二位はサイボーグ009「凍った時間編」。
時間物の作り出す孤独の恐怖が味わえる、小品ながらも佳作。
第三位は奇妙な味わいが魅力的な、奇妙な友人たち「まがまがまがま」で。