- 作者:小杉 健治
- 発売日: 2006/03/14
- メディア: 文庫
どこで見かけたのか忘れたけど、今更ながら読みたくなってしまった16年前の作品。
予想通り、なかなかに良い作品だった。
やはり最後がね。父側の気持ちに寄り添ってしまうだけに。
二つの流れが交錯した時点で、推測はついてしまうけれど、
こう描かれると、やっぱじわっと感動してしまう。
いろいろと設定に無理を感じるところはあったけどね。
男主人公が自分自身の動機を忘却してしまってるという設定が、結局は謎。
相当心理的に蓋をしてしまいたくなるような真相であるべきはずなのに、
逆に救いにもなりかねないようなものだったので、心理的不自然さが解消されなかった。
女主人公がこの状況ほっぽって父親探しに走る心理も納得できなかった。
社長殺しの現在の事件の方は、俗物的でミステリとしての魅力は無かったし。
その分、過去の事件の方は、ドラマチックだったけど。
で、やっぱり題名の「父からの手紙」が、とにかく効果的だし。
そういう感動ミステリとして、採点は7点。