新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

二階堂黎人が選ぶ!手塚治虫ミステリー傑作集

 
さすがと言うほかは無いほど、手塚治虫のミステリ作品が集められている。
「いつものアレ」みたいに思える作品など無く、ほぼほぼ初読の作品ばかり。
これだけ選びだすには、膨大な時間と努力が必要だったろうなぁと容易に推測出来る。
好きこそ、ではあるだろうけど、心より「お疲れ様」と言いたい。
 
四つのコーナーに分類されてるので、全体のベスト3ではなく、
各コーナーごとのベストを選んでみることにしよう。
 
『ファイル#1 本格推理』からは「一族参上」を。
コーナーの意味合いとしては「ビルの中の目」がベストなんだけど、
オチの意外性とそのメタ的表現にやられてしまった。
マンガという表現媒体の可能性を様々に探っていた手塚治虫ならでは、だよな。
 
『ファイル#2 名探偵登場』からは「13の秘密」を。
トリックのユニークさもあるんだけど、これまたメタ的ないたずらに
とっても心動かされてしまったので。
 
『ファイル#3 謎ときコレクション』からは「犯人当て大懸賞」を。
「という手紙がきた」の最後の三人の宛先には笑わされたんだけど、
手塚治虫が1ページ物の犯人当てを書いてたという珍しさはやはり貴重だろう。
 
『ファイル#4 5つの事件簿』からは「ビバゴン現わる!」を。
話としての面白さは「キリストの目」や「人間の皮を着た人間」が上だけど、
謎解きに関しては、幽霊の正体見たり、な本作が一番だったかなぁと。