新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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お嬢さん

'18/11/20 ムービープラス放映分。

サラ・ウォーターズの「荊の城」を原作とした、パク・チャヌク監督の最新作。
 
やはり、なるほどと思える語り口だな。
どことなく諧謔性をはらみながらも、研ぎ澄まされた映像美。
下世話なエロさ(本作ではよりエロ味が強い)と反発せず、両立している。
コメディと表裏一体化した暴力の残酷性も、しっかりと健在。
 
また原作の力も大きいだろうが、本作では「オールド・ボーイ」のように
強烈な意外性も味わうことが出来る。
第一部のラストに訪れる、驚天動地のサプライズ。
 
そして全く異なる構図が描かれる第二部。
逃避行の第三部は、あのどんでんを終結させるには、
ちょっと緩やかすぎるようには感じてしまったけど。
 
これからも要注目の監督だな。
 
ただまぁ本作の観客としては、実は一番日本人が向いてなかったりして。
母国語ではない俳優ばかりがしゃべってるものだから、
日本語部分がすごく棒読みなのが気にかかる。まぁ味っちゃあ味なんだけど。