新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

トリック・トリップ・バケーション

デビュー作はパクリ疑惑で大変な事態らしかったっぽいが、
二作目のこれが評判よさげなので、読んでみることに。
 
するとこれは意外な掘り出し物だったかもと思えた。
 
クローズド・サークルの密室殺人物。
 
まぁ、ハウダニットはとんでもないんだけど
(後付けでそれなりの説明付けはされるけど)
なんといっても、多重推理が結構楽しい。
 
こういう謎ならこういう手もあるよね、ってところを、
ちゃんといい感じに拾ってて、個人的にはセンスの良さを感じた。
フーダニットのロジックも初期の伏線を活かした意想外の手掛かりで、
ちゃんとアクロバティック性を演出出来ているとも思えたし。
 
あまりにもトンデモ系のハウダニットだって、
とんがった作品を産み出せる原動力になり得るかもしれないし。
 
全作追いかけようとまでは思わないけど、評判は拾って、
今後も良さげな作品があれば、また読んでみようと思う。
ただ今回の最後の真相だけど、事件の解決自体を左右するような、
シリーズ設定は止めて欲しいなぁと思ってしまった。
 
採点は充分7点。