新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

あぶない叔父さん

あぶない叔父さん

あぶない叔父さん

麻耶雄嵩流脱力系ミステリ。
 
趣向の統一と、そう思わせてのそこからの逸脱、
というのも、麻耶クンの常套手段。
 
だからこそ個人的には物足らない。
 
これがこの一冊で完結している作品集だとしたら、
私としては失敗作だと断じてしまいたい。
 
逸脱の仕方が中途半端すぎるのだ。
麻耶クンにしては珍しく、美しさに欠けてる。
 
せめて全作の趣向が統一されているならば、
ほんとに脱力系を書いてみたかったんだろうなと、
まだしも納得出来た。
でも、ほんの一部だけの逸脱はダメでしょ。
 
だっていくらでも逸脱の方向性が考えられる作品。
しかも、それに加えて、最終作は書き下ろし。
最終作の逸脱で作品集として綺麗に締めるんだろうと
どうしても期待が膨らんでしまう。
 
しかし、若干の方向性の変化はあったけれど、
そういう期待を満たしてくれるものではなかった。
 
失敗作だと思うので、麻耶雄嵩に付ける点ではないけど、
採点は6点。
 
唯一の希望は、これは完結作ではなくて、続編が出ること。
たとえば叔父さんが次巻では結婚してて、タイトルが「あぶない叔母さん」
そして、最終作の趣向で吃驚させてくれると。
無いかな?