- 作者: 横山秀夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 単行本
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この重量感に圧倒される。
警察という特殊性を活かしきった組織小説としてのずっしりとした重厚感。
みしみしという音さえ聞こえるよう。軋み続けている、いつまでも。
他の追随を許さない、これほどの組織小説でありながらも、
なおかつミステリとしても優れているのが横山秀夫クオリティ。
Whodunit, Whatdunit, Whydunit が一度に訪れた瞬間に、
思わず「ほぉーっ」と吐息を漏らしてしまった。
別筋と思えてたストーリーの中に、読者に対して堂々と伏線が張られていたなんて。
しかもこれって、ある意味では、Howdunit, Whendunit さえも含有していると言ってもいいのではないか。
さすがに Wheredunit まではないが、4W1Hの驚きを一度に味わえるなんて!
傍筋も含めて全て閉じたい性分なので、決着が付かない部分が残ったままのラストには
若干のフラストレーションは感じてしまったが、小説の余韻としてはこの方がいいんだろうな。
年間ベスト級の作品であることに全く異議無し。採点は8点。