新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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20世紀SF〈1〉1940年代―星ねずみ

一転して、90年代から40年代へ。一気に半世紀遡ってみる。
さすがにこういう読み方しちゃうと、すっごくシンプルに見えてしまう。
イデア、即、作品そのものって感触。
 
ただ、語り口の味わいに関しては、時代を超えたもののように思えた。
その作者の持ち味といったものは、やはり普遍なのかなと。
フレドリック・ブラウンの軽妙さや、ブラッドベリハインラインのそれぞれファンタジー性、現実性に寄せた叙情性など。
 
複雑巧緻な話をハードに語る現代作品も良いが、やはりこういう普遍性のあるSFもいいなぁと。
既読作品も多かったけど、自分の乏しい記憶力のおかげで、また愉しめたし。
 
ベスト3は順不同で、初読のSF短編が読めただけで嬉しいのに、充分傑作なのにビックリのブラウンの表題作、理知的なバカ話がさすがのアシモフ「AL76号失踪す」、アイデアの壮大さが現代SFにも通じるようなチャールズ・L・ハーネス「現実創造」かな。
 
入手しやすい作品は比較的避けてあるおかげか、粒ぞろいだけどありきたりすぎないとこを評価して、採点は8点。