新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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90年代SF傑作選(下)

90年代SF傑作選〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

90年代SF傑作選〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

90年代だともうすっかり、自分の感覚とは合わないかもという懸念があったんだけど、幸いなことにそんなことはなかった。
これはついていけないというのは皆無で、どの作品も楽しめてしまった。
根本にあるアイデアだけで突出するのではなく、それを作品世界の中にきっちりと落とし込まれているものばかり。
さすが10年スパンで二冊に厳選されたアンソロジーなだけはある。採点は文句なしの8点。
 
しかし、やはりその中でも、テッド・チャンとイーガンは頭抜けているように思うな。「理解」も「ルミナス」も既読作品だけど、やっぱ傑作だわ。ベスト3選ぶなら外せない。残り一作はロバート・リード「棺」だな。Boichiの「HOTEL」のような、壮大すぎるスケール感が圧巻。
 
これだけ絞り込まれてると、選者のセンスに大きく左右されるものだろうが、山岸真の感覚にはついてけけそう。これが大森望だったら、きっとこうはいかないだろうからな。
 
そういえば、90年代の上巻と80年代の上下巻もどこかにあるはず。探してみなきゃだわ。