新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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LIAR GAME -roots of A- 甲斐谷忍短編集

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続いては、新旧の”新”の方。年月を経るほどに、ステレオタイプな作品から、「LIAR GAME」の系統に繋がっていく様が見て取れる。
わかりきった結末へ向かうだけの「@ラヴァーズ」。設定の独自性とゲーム要素が導入されるが、謎や意外性はない「ナインダーツ」。設定の独創性は更に増し、謎は無くとも解決のある「サンソウ〜禁断の占術〜」の第一話。更に事件・謎・意外性と大幅にアップした第二話。この二話目の質だったら、完結まで読みたくさせられたんだけどな。尻上がりに良くなっていて、なるほどこうして「LIAR GAME」につながって来たのか、とよくわかる。*1
学生時代の秋山を描いた表題作単独の価値よりも、全体として「LIAR GAME」自体のルーツが見えたようで、興味深い作品集だったと思う。

*1:まぁ、長編である「ソムリエ」「ONE OUTS」が、これらに絡んでどういう位置づけになっているのかは、未読だからよくわからないが。