霧の中のラプンツェル
実に惜しいことではないか。
こんな作品が未完のままだなんて。
ホロコーストを描いていること自体は珍しいわけではないが、
なんといってもこの語り口が素晴らしい。
各話の章題がグリム童話のタイトルになっていて、
各話の冒頭にそのあらすじが掲載されている。
(第1話だけは中途に盛り込まれているのだけど、その効果も素晴らしい)
そして、その回はそれをモチーフにしたシーンや展開が
必ず盛り込まれているのだ。
こんなの無茶苦茶難易度が高いよ。
一話一話がもの凄く丁寧に作られていることがよくわかる。
未完ながらも傑作たる所以。
確かにここからが辛い描写になることはわかっているのだけど、
救いの残るラストになる可能性も秘めている。
いや、たとえそうならなくても、辛い描写がまだまだ続いたとしても、
この作品は最後まで読ませて欲しかった。
本当に惜しいことではないか。