新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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10/02(土) イオンシネマ新百合ヶ丘にて鑑賞。
 
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12人の監督による短編12本のオムニバス映画。
上田慎一郎作品も入ってるし、一時期深く関わってたCrystal LEDを使用した
バーチャルプロダクションという撮影技法も使われていたりもするってことで観に行ってみた。
 
作品順は多分下記だったと思う。
 
三島有紀子監督チーム作品・テーマ「共有」
『睡眠倶楽部のすすめ』『YEN』『海にそらごと』『よろこびのうた Ode to Joy』
 
上田慎一郎監督チーム作品・テーマ「感触」
『あこがれマガジン』『魔女のニーナ』『死霊軍団 怒りのDIY』『ユメミの半生』
 
藤井道人監督チーム作品・テーマ「成長への気づき」
『流民』『タイクーン』『ココ』『名もなき一篇・アンナ』
 
一応、各チーム毎にテーマが設定されてるってことになってるけど、
あんまし気にする必要はないと思う。妥当感はそんなに無いもの。
たとえば自分がテーマ付けるなら上から順に「安心」「幻想」「再生」かな。
 
ベストはもうダントツで、上田慎一郎の『ユメミの半生』。
この短さの中で、初期から現代までの名画の歴史まで盛り込んだ、映画オマージュ映画に仕上げている。
エンタメとして愉しく、COVIDの状況も踏まえて、ほろり感も出てて、もう圧倒的。
 
ベスト3の残り二作品を選んでみると、『死霊軍団 怒りのDIY』『あこがれマガジン』
になってしまって、結局全て上田組で揃ってしまった。
というのも、短編ながら起承転結が揃ってて、特に「結」の収まり感があるのが
上田組だけってことだからだと思う。
 
上田組以外から選ぶとすると、三島有紀子監督チームからは『睡眠倶楽部のすすめ』かな。
とても緩やかに落ち着くラストに。彼女が人生を遡っていくようなそこまでの描き方も。
藤井道人監督チームからは『名もなき一篇・アンナ』だな。直接は語らない真相の描き方に。

映像作品としては『よろこびのうた Ode to Joy』とか凄いとは思うんだけど、
こういう感性だけの作品ってのはなぁ、というのが正直なところ。
同様に『流民』も映像も技法も凄いと思うけど、語りたい物が見えないもどかしさを感じる。
 
全体的につまらない作品は無く、概ね満足できた作品だったかなぁ。
特に自分としては、上田慎一郎が期待以上の作品だったので、観る価値あったからな。