くしゃみ
浦沢直樹の19年振りの短編集だとか。
それだけ滅多に描かれることのない短編だからこそであろうが、
一作毎の密度はとても濃密で、読み応えがある。
エッセイ系の作品群と、ストーリー作品が混じってるけど、
やはり自分としては浦沢らしいストーリー作品の方により心惹かれる。
その中でも長めの作品であるほど、色んなアイデアや伏線などが詰まってて、
完成度と読み応えが格別なものになってると思う。
そういうのが一番効いてるってことで、ベストは「月に向かって投げろ!」だったな。
短編のマンガサスペンスとしては、もう完璧な部類だろう。
たっぷりのフリ(伏線)が完璧に回収されて、最後の最後まで心地良い。
第二位は既読作だったけど「怪獣王国」だよなぁ。
怪獣映画へのオマージュを、こういうセンスのいいパロディで描き出すのがお見事。
第三位は超能力モノとヤクザモノの融合、「DAMIYAN!」で。
せっかく話の筋はいいのに、日村とか西田敏行を想起させる顔が余計だったな。
ところで、目次の頁に「くしゃみ(嚔)」の意味の一つとして、
「長編小説に対して短編小説のことを指す。」とか書かれてるけど、
これって浦沢直樹が勝手に作った意味だよね?
三番目の「どんな美人も瞬間、不細工に見えること」は明らかに嘘だしね。
でも、それならなんで、この作品集のタイトルは「くしゃみ」なんだろ?