原書房様からの頂き物。いつもありがとうございます。
- 作者: 鳥飼否宇
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2015/02/26
- メディア: 単行本
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最後まで読み終えて、初出一覧があるのを見て、初めてわかった。
著者がこれまでに発表してきた三編の短編「処女作」「問題作」「失敗作」に
書き下ろしの「出世作」を加えて、それらを作中作として長編の枠に組み込んだ作品。
とはいえ、おざなりにつなぎましたって代物なんかではないぞ。
なにせ、その長編の枠というのが、お馴染みの変態フィールドワーカー
「増田米尊(音読みしちゃうでしょうが”よねたか”が正解)」ものなんだから。
まぁ、○○的という題名でおわかりだろうが。
というわけで短編としてもバカミスながら、長編としてもバカミス。
バカミスの入れ子構造。しかも作中作に向かう内向きのバカミスでもありながら、
作品外にも飛び出してきちゃう外向きのバカミスでもある。
そう、世界はバカミスに満ちているのだ。
しかし、ちょっと面白いと思うのは、自覚的にバカミスを書く作者って、
どうしてもそこに自分自身も押し込まなくちゃいけなくなること。
まぁ、周り中をバカミスに引きずり込もうといつも考えてるような人達だから、
一番身近にある存在を引きずり込まずにいられるはずもないってことなんだろうか。
それと気になった点はいくつかあったんだけど、その一番大きいのがこれ。
主人公がフェロモンむんむんな超モテ男になった理由が
これじゃ、なんとも納得いかないよってとこ。
ただの願望じゃ許しませんことよ。
まぁ、でも全開のバカミスを久しぶりに読んで痛快だったので、
そのあっけらかんさをプラスして、採点は7点。
あっ、ちなみに短編としてのベストは、迷わず「出世作」