- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/04/22
- メディア: 単行本
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幻惑される描写。
”漠然”という意味の漠の檻の中に読者は閉じ込められる。
いったい道尾秀介は我々をどういう地平へ導こうとしているのか。
霧の中を進むが如くの作品。
否が応にも道尾マジックを予想せざるを得ないじゃないか。
そういう期待感を積み重ねさせた挙げ句の果てに、平凡な決着が訪れる。
二作目の「骸の爪」を思い出される、すれ違いの交差はあるものの、
そこまでの波状攻撃ではなく、力強さに欠けている。
しかもある人物の行動と心理がどうにも説明されないまま。
別にそこは主要ではなく、どうとでも処理して良いだろうところなのに、
収まり感の悪さを妙に作り出してるように思う。らしくない。
原点回帰っぽい作品で期待感が煽られたせいも多分にあるのだろうが、
やはりその反動で、とても高くは評価出来やしない。採点は6点。