新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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パラダイス・クローズド

なんと、MLの仲間内からメフィスト賞作家が誕生! 著者謹呈本を頂きました。Thanks!
 

パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス)

パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス)

 
今、新しい時代が始まったのだ!
 
京極、清涼院、西尾、舞城など、方向性にそれぞれ違いはあれど、ムーブメントでも呼ぶべき、時代を動かす作者が登場してきた。
ここにまた、新たにその一員となる(かもしれない)トンデモ野郎が現れてしまったのだ。幸か不幸かは別として。
ここに挙げた作者達に共通するもの、それはいろんな意味で”本格”をぶっつぶしてくれたところにある。京極は完全なるアンチ・ミステリで本格を愚弄し、清涼院はぶっとびの躁状態で本格を単なる遊び道具とし、舞城は本格をもぐら叩き化し、西尾は本格を足蹴に別世界へ旅立った。
 
そしてこいつは、”汀(みぎわ)こるもの”というふざけた筆名の輩は、大胆にも”本格”に喧嘩ぶっかけてきやがったのだ!
 
このバカ!
いや、お前にはもっとふさわしい言葉がある。
このタコ!
 
本格者達よ、いざ迎え撃て! 俺達の牙城を守るのだ!
「”本格”への挑戦状」と題された章の最後の一行なんか、言わせっぱなしにしてはなるまいぞ。
最後の最後の三行なんか、丸めた消しカスにして、奴の口に叩き戻してやるのだ!
 
う〜ん、しかし、敵も油断はならないぞ。
デビュー作にして既に奴は、『こるもの国』(「こどもの国」のイントネーションで読んでください)とでも云えるような、独自の世界を築き上げている。やおいやボーイズ・ラブやラノベなんか自分には関係ないと思っていても、いつの間にか、たこつぼのようにはまってしまってる自分に気付いてしまうかも。
世界少数の”タコを生で喰える”日本民族。そんな中でも悪食大好きと来たら、本格ミステリ人種と相場が決まってる。
俺もアンタも大好きなはずさ、そう、バカミスって奴がね。
こんな間抜けな密室トリックなんて、なんて、なんて……バカヤロー、そうさ、好きだよ、認めるよ。カトリック、ばんざーい!
 
はっ、いかん、すっかり奴の術中にはまってる。
 
世界は霊長類から始まったのではない。生命は海からやってきた。
霊長類の犯罪で始まった”本格ミステリ”の世界をぶっこわして、再び海から始めようというのか?
いや、そんな大袈裟なもんじゃないんだけどさ(笑)
 
ま、とにかく、新しい時代の誕生にアンタも立ち会うかい?
そして、俺と共に戦って欲しい。奴が倒れるまで。