新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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新・酒と勝負する男の物語

このシリーズ名称を持ち出す時点で完璧にネタバレなんだけどさ(苦笑) まぁ行ってみよう。
「春は別れの季節」というわけで、昨日は課の歓送迎会。今年になってからの飲み会は、全て特に危なげもなく乗り切っている。とはいえ「敵を知り己を知れば百戦危うからず」なのだ、自分を信用するなんて愚かなこと、いつもの準備はぬかりない。12:00と12:40に腕時計のAlarmをSet。かみさんにメールと電話も頼んでおく。
一次会、二次会、、、その後どういう経緯で電車に乗ったのか、一人で乗っていたのか、誰かと一緒に乗っていたのか、今となってはもう思い出す余地もない。だって私は「記憶なくしてこそ、酒だと思ってますから」(早速使ってみた(笑))
電車の中。電話の音で目が覚める。良かった、これってかみさんに頼んでおいて正解だってことだよね? 「今、どこにいるの?」「ここはどこ?」 その時にはまだギリギリ間に合ったのだと希望的観測の余地があった。
しかし、非情な答は間を空けることもなく、車内のアナウンスでもたらされた。「次は下北沢〜」
 
あちゃあ〜、やっちまってるよ。とんでもなく乗り過ごしてる。慌てて下北沢で降りる。そこに下りホームからのアナウンスが聞こえてくる。「到着の電車は相模大野行きの最終です」 ラッキー。それならば自宅最寄り駅まで辿り着ける。ぎりぎりの瀬戸際だったが、なんとか踏み止まることが出来た。駅の階段を駆け上る。完璧なタイミング。この時点では間違いなくたしかにこの手に勝利をつかんでいた。
 
思考力ってなんだろうね? 1と1を足せば2になる。そんなことすらもわからなくなる事態が自分の身に起きるなんて、普段の自分には想像することも出来ないだろう。しかし、この世は不可思議なことばかりなのである。世は奇蹟に満ちている。
いや、そんなことは単なる言い訳に過ぎまい。おそるべきオルコホルは簡単に人の思考力を奪ってしまうのだ。一般化した言い方はずるいか。認めよう。”俺の思考力は酒で簡単に麻痺してしまう”のだ。
 
何故、なんてことは聞かないでくれ。自分にすらわからないんだから。階段を駆け上った先で、私がやっていたのはひたすら改札を出ようとする行為なのだった。定期だけでは当然出られない。そりゃそうだ、乗り過ごしてるのだから。こういう場合はパスネットを出して2枚挿入。それでもピンポ〜ンと警告音。そうか、残金が足りなかったのか。そうだ、新しいのも買っておいたはずだ。思考の流れは無矛盾なようでいて、ただし、前提が完璧に間違っている。「なんで出る必要があるんだよ?!」
 
慌てて反対側の下りホームの階段を下りる。そこで私が見たのは、我が家まで辿り着けるはずの最終電車が駅を出て行く後ろ姿だった。以下は12/21と同じ。向ヶ丘遊園行きの最終に乗って、そこからタクシー¥4,260。帰宅は深夜2時過ぎ。当然かみさんからのメールは届いていたし、電話は何故か留守電になっていたらしい。
これだけ付き合いが長いにも関わらず、いまだに敵も知らなければ、己すらも知らぬ、ということらしい。
 
このシリーズはまだまだ続く……(開き直り)