新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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探偵ゼノと7つの殺人密室 7巻

 
AI暴走を扱う「顔のない悪魔」編。
当然5つめの殺人密室だと思ってたら、こんなことに。
全体的に悪くはないけど、ってところだなぁ。
証拠の見せ場を作ってはあるけど、
推理の根拠は特に無いんだよなぁ。
 
残り1.5冊で、殺人密室三つ。窮屈だなぁ。
ということで、過去の真相を見せながらという演出有りではあるけれど、
あっさりとハウダニットだけの「幻影の劇場」編。
これまでの中ではハウの独創性はそれなりにあるかもしれないけど。
 
おまけみたいな「赤錆通りの銃声」編も
証拠を出すシーンはあっても、推理の根拠が無いのは同じ。
 

ラザロの迷宮

 
なるほど、こういうやり方か。
 
以下の感想ですが、勿論、明確には書かないですけど、
勘の良い方には、充分読めてしまう部分があるかもしれません。
これから読もうと思っていらっしゃる方は、
以下は読まずに本書に向かわれた方が良いと忠告させていただきます。
 
本書の基本的な構造は、実は作者の発明ではない。
ミステリ映画好きであれば、観たことがある人も多いだろう
初心者向けミステリ講座(映像編)にも選んでいる「アイデンティティ」である。
 
ある意味、結構そのままと言ってもいいくらいの相似形。
犯人の設定まで含めて。
 
それなのに、なかなかそうとは気付かせない。
それはきっとあらかじめミスリードが仕込まれているから。
 
あからさまかどうか逡巡するくらいに仕込まれたコレが上手く機能して、
その先への読者の思考を遮断する役割を果たしているんじゃないかと思う。
 
だからこそ、P377の逆転の一言が、どんでん返しとして響くのだ。
 
このやり方が上手かった。更にここにとどまらず、
最後のどんでん返しまでバッチリと決めてくれたおかげで、
パクりとは言えないオリジナリティを充分生み出すことに成功している。
 
なかなか見事なお手並みだろう。採点は8点とする。
 

異色の歴史の修道士が白い獣と川でラブラブ

昨日は人間ドックで要精密検査だったので、胸部CTを撮りに相模大野まで。
今日は中山から4軒回るコースで。15,196歩、15,785歩。
 

このシリーズはこれで残りは4巻の「パラレル同窓会」のみだ。
 

策士・軍師ってのには、当然心惹かれるわなぁ。
 

エロイカ」含めてほとんど読んだこと無い作者だけど、これはミステリ色ありそうかもってことで。
 

約ネバへの道、とも言える4編、だということなので。約ネバの後日譚も収録されてる。
 

全8巻揃うまでは時間かかるだろうけど、まずは買えるとこから地道に。
 

海街diary」から続いて、このシリーズも継続購入中。
 

ラノベ古事記を原案にした漫画版らしい。
 

ラーメンズ第12回公演『ATOM』

 
収録コントは以下。
・上下関係
・新噺
・アトム
・路上のギリジン
・採集
・アトムより
 
前回に引き続き、更に演劇性を高めたような公演。
そのためか一作一作の濃度が高く、コント数も6本と少なくなっている。
ただ、その分笑いの要素は控えめだったと思う。
 
タイトルはWikiによると、初心に戻るためのAから始まるアルファベット4文字で、
「これ以上分割できない最小単位」という点が意味を持っていたということだったが、
それよりも鉄腕アトムから感じられるような、SF感とか、科学の最先端みたいな
イメージがしっくり来るように自分には思えた。
 
わかりやすくSF感のある「上下関係」「アトム」「アトムより」の中では、
最後の落とし方を買って、「アトムより」を選択するかなぁ。
 
最先端というイメージでは、落語という芸を解体して、パロディを越えた
再構築を見せてくれたような「新噺」が今回のベストコントで。
 
もう一つ前作の「小説家らしき存在」のホラー風味を更に突き詰めたという意味で、
最先端のイメージを感じさせてくれた「採集」をベスト3の一角に置こう。
 
「路上のギリジン」は片桐仁無双作品の中では、なんかネタがつましくて、
いまいち笑いにくかったので、ベスト3落ちってことで。
 

ラーメンズ第11回公演『CHERRY BLOSSOM FRONT 345』

 
収録コントは以下。
・本人不在
・エアメールの嘘
・レストランそれぞれ
・怪傑ギリジン
・小説家らしき存在
・マーチンとプーチン2
・蒲田の行進曲
 
演劇性が高まった印象。
 
こういう捉え方をするのはなんだけど、
ラーメンズの公演の中では、一番ミステリと親和性の高い回だったな。
 
最後のコントで伏線回収ってのはラーメンズの公演の定型なんだけど、
その回収の仕方としては、「蒲田の行進曲」は出色の出来映えかと。
人間関係をひっくり返す、あっと驚くどんでん返しもあって、これが今回のベストで。
 
「エアメールの嘘」は謎解きだし、「本人不在」「レストランそれぞれ」も
何度もどんでんを見せてくれるし、ミステリのオンパレードなわけだけど、
中でも「小説家らしき存在」は手数も多いし、
世にも奇妙な物語」風のミステリとしての脚本の完成度がお見事。
 
ベスト3のもう一作としては悩まず「怪傑ギリジン」だな。
片桐仁が無双する一人芝居には外れ無し。やっぱ笑うっきゃ無い。
 
タイトルの意味は結局良くわからなかった。Wikiにも書いてなかったし。