新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

探偵ゼノと7つの殺人密室 6巻

 
ようやく「穏神島」編の決着。
ここまで長く引っ張った殺人密室もたいしたことなかったな。
というか、こんなの全然密室じゃないっしょ。
やっぱり、こいつ、わかってないよなぁ、と思ってしまう。
雰囲気は良くても、筋が悪い。
 
続く「男爵」編は、ゼノの過去について小出しにする展開。
 
ミステリなのは「男爵は笑う」くらいか。
具体的なトリックがわからなかったとしても、
証言の矛盾は誰にでもわかるというのがイマイチ。
 

探偵ゼノと7つの殺人密室 5巻

 
ええ~、まさか5巻でも殺人密室の解決は持ち越しだなんて。
そもそもまだ何がどう殺人密室なのかすらも、明らかになってない始末。
 
あと殺人密室が3つも残っているということは、
4巻から続く、この「穏神島」編が、このシリーズ最長作なことは間違いあるまい。
 
それだけ気合いの入った作品。
原作担当のコメントを見ると、「孤島」で「旧家」で「歴史」で「見立て殺人」で、
中学生の自分が嵌まった様々な名作ミステリへのオマージュなんだと。
 
でも、それぞれがバラバラで、一本の筋が通ってない。単なる寄せ集め。
ミステリ・プロパーな人では無い故だろう、筋の悪さが感じられる。
 
頑張ってる感はあるんだけど、これまでの殺人密室のハウダニット
結局独創性とか意外性を持ったものでもなかったし、
雰囲気の皮を剥がせば、そんなに評価出来る作品ではなかったかもなぁ。
 
とりあえず全巻買ってあるし、最後まで読んでみます。
 

本格王2023


初めてかもしれない。いや多分初めてだろうな。
これを推したいって作品が一っつも無かった。
 
正直今回はベスト3は「該当無し」にしたい。
そういう作品名があるわけではなくて、
ホントに選びたいものが無いって意味合いで。
 
年間ベスト本でこれは無いだろうってことを考えると、
初めて(だと思うけど)採点は5点とする。
 
まぁこれで感想放棄するのもなんなので、
一応はベター3ということで選んでおくことにはしよう。
 
ベターな中でのベストは道尾秀介ハリガネムシ」。
文章だけで真相が充分にわかってしまうところがイマイチだけど、
文章ではなく音声にすることに意味を持たせるアイデアは上手い。
 
次は結城真一郎「転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件」。
一応犯人指摘の根拠が一番ちゃんとしてた。
 
最後はあまりにも奇妙なシチュエーションを作り込みすぎてて、
ロジックのスッキリ感を失ってるけど、白井智之「モーティリアンの手首」で。
 

爆弾

 
昨年度の「このミス」「ミステリが読みたい!」の二冠作品。
 
ということからもわかるように、
読み応えたっぷりな作品。
 
とぼけたサイキックな雰囲気の容疑者と、
切れ者の本庁刑事との、取調室での頭脳戦が
ほぼ全編に渡って続く。
 
映画だよなぁ。
対峙する二人と書記官(あとサポート役)。
映像として頻繁に目にする光景。
 
間違いなく映像化を企図してる作品。
本書中ではあっさり描写ではあるけれど、
映画だと見せ場に出来るであろう爆破シーン含めて。
 
そういうサスペンス要素だけではなくて、
構図のずらしが描かれているのも、二冠の要因か。
 
そういう面もあるので、本格厨の自分だけど、
採点は7点ということで。
 

青春を一つ取り戻す

 

楽天の方は写真が無かったので、上はAmazonのリンクを貼ってますが、楽天の方が全然安いですよ)
 
 
これは買わずにはいられなかった。
 
これまでの人生でただ一度だけファンクラブに所属していたことがある。
それが彼女だったんだもの。
 
聖子ちゃん*1から始まり、大学時代もデパートの屋上イベントに出かけてサイン集めたり
(覚えてるとこでは、ヒロコ・グレースとか、森尾由美とか、だったなぁ)
アイドル・ファンでは常にあったけれども、
遠慮無く自分のお金が使えるようになった社会人になって初めて、
ファンクラブに所属したのだった。
 
映画「菩提樹」の撮影にエキストラとして参加したこともあった。
映画館に観に行ったら、講堂の端に自分の姿が映っていて感激。
その後レーザーディスク買ったら、完全にトリミングされてたけどね。
 
聖子ちゃん以来のアイドル・ファンとして過ごした自分の青春の象徴、
それがナンノだと思う。
 
これを観ることで、きっと青春を一つ取り戻せるような気がする。
 
届くのは6月25日。三ヶ月後が待ち遠しい。
 

*1:ちなみに妻は聖子ちゃんの親戚。なので旧姓は蒲池という同じ名字。勿論面識はないけれど、親同士は親戚の集まりで顔を合わせたりはしていたらしい。その縁で高校時代に実家の住所教えて貰って、実家宛に聖子ちゃんへのファンレター出したら、本人ではなくお母様から返事を貰ったということもあった。