新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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謎尾解美の爆裂推理!! 1巻

 
くふくふ。意外に悪くないんじゃないのぉ~。
 
ギャグとして面白いとか、
ミステリとして面白いとか、
そういうんじゃないんだけど、
なんか別次元の面白さがある。
 
第二話の冒頭、「犯人はコイツだ!!」と、
ミステリー史上初”今回の犯人”大公開とか、
第四話の双子推理の表現の仕方だとか、
第五話の皆殺し殺人を誰1人殺されぬうちに解決だとか、
気の狂った(褒め言葉です!)表現方法やアイデアが爆裂してる。
 
この異次元は、是非とも2巻でも味わってみたいよ。
きっと今度は巨人探偵も登場してくるんだろうし(少しわくわく)。
 
そう、たとえプロとは思えぬような画力でも(苦笑)。
 

あなたが私に語ること~アニマルコミュニケーター侑川十子の記録より 1巻

 
装丁とかだけを見て購入したときの印象では、
ドキュメンタリー系の漫画も描くんだぁ、とか思ってしまってた。
 
違ってた。
たしかに一見そんな風には見えるんだけど、
このアニマルコミュニケーターってのは、動物と会話が出来る人だった。
お伽噺感は無いんだけれど、やはりこれもファンタジーだったんだな。
 
ちょっとした優しいお話達。
猫好きな人にはたまらない作品集だろうなぁ
 
優しさにあまり甲乙付けたくはないので、
恒例のベスト3は順不同で。
 
歌う猫の歌の意味がわかる「ミルク」
最後のコマがとても素敵な「イチゴ」
飼い主をフルネームで呼ぶ意味に泣ける「おでん」
 

コミック横溝正史 金田一耕助の事件簿

 
明後日の金曜日から九大ミステリサークルの初代と二代目(これが自分たち)で、
岡山の横溝正史ゆかりの地ツアーを行うので、それの予習のため
「獄門島」の再読と、これを読了。
 
本書は長尾文子の「八つ墓村」と、以下の四短編を収録。
「霧の別荘の惨劇」「傘の中の女」「棺の中の女」「夢の中の女」
 
八つ墓村」は話としては面白いんだけど、正直ミステリとしては、
さほど優秀な作品ではないというのも再認識。
漫画としては劇画調のタッチが、個人的には苦手。
ヒロインのはずの典子も最初の頃は不気味な画だしなぁ。
後半はそれでも可愛く(主に性格的に)思えるようにはなったけど。
 
短編4つはいずれも小粒な作品ばかりなので、甲乙付けがたい。
しいて一作選ぶとすれば「霧の別荘の惨劇」かな。
 

スティグマタ-聖痕捜査- 1巻

 
これまた特殊能力捜査のバディ物
 
被害者の残留思念を読み取るってのは、
警察物の特殊能力としては基本のキだけど、
それが聖痕のように、身体中に現れるってのが漫画ならではの表現。
(実写版だとグロいだけの話になっちゃうからな)
 
ただまぁ結局は「表現」ってだけの話。
 
この状態で犯人を目撃したり、
現場にいた人物と接触すると聖痕が発動する、
なんてことで事件を解決されてもなぁ、だなぁ。
 
ミステリ的には意味の全く無い作品。
続編は不要……っていうか、そもそも2巻は出てないようだな。
 
さもあらん。
 

てっぺんぐらりん ~日本昔ばなし犯罪捜査~ 1巻

 
いや、もう、相当に無茶。
 
新人警官が勝手に部署立ち上げて、民間人に秘匿情報全公開なんて
懲戒免職ものの無茶(つうか無茶苦茶)も含めて、相当に無茶。
 
ジャンルで云えば、これは全くミステリなんかではなく、
ホラー・サスペンスの類いだな。
題材がホラーで、叙述形式がサスペンスといったような構造。
 
事件をどんな風に昔話に絡めていくのか、ってな話では全然なくて、
昔話そのものの事件が起こる、というお話。
 
でもって犯人はその昔話の悪役そのもの。外見は人間なんだけど、
中身は「人ならざる者─Wicked─」。特質も昔話そのもの。
主人公はその正体の姿を瞬間視える。
 
ミステリ的興味はほぼ皆無なんだけど、どんな昔話事件が起こるのやら、ってな
火事場見物的な興味と、昔話を異常犯罪として解釈するという点での面白みはあるから、
まぁ積極的に読みたいわけじゃないけど、何も無いときの候補には残しておくか。