新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

探偵ゼノと7つの殺人密室 2巻

 
というわけで第2巻。
 
う~ん、判断はまだ保留。
だけど、少し楽しみ方がわかってきたかもしれない。
 
第2の殺人密室のトリックは前巻のものよりは良い。
謎解きの興味とは別種のものにはなるんだけど、
大がかりな物理トリックのご披露を割り切って愉しむ、
という方向性で臨めば、興味は持続できるかもしれない。
 
この巻のラストで、第3の殺人密室が示されるんだけど、
列車内の密室での溺死ってぇもんで、興味はそそられる。
 
殺人密室だけでなんとか持たすってわけではなく、短編も挟まれる。
ゼノの過去を小出しで描くのはどうでもいいが、
「水曜日の依頼人」はまぁ悪くなかったしな。
 
とりあえず3巻は買ってみる。
なんのかんのと結局傑作は無いんだけど、最後まで読むこた読む、
ってことになりそうな予感。
 

探偵ゼノと7つの殺人密室 1巻

 
シリ漫続(しりまんぞく)キャンペーン、このシリーズで最後。
 
美味しい物は最後まで残すタイプの人間なので、
期待感でいったら、実はこれが大本命だった。
評判も良さそうだし、漫画界の館シリーズみたいなもんかと。
 
まず、お披露目の第一話だけど、なんか根拠なさすぎ決め付け推理でちょっと萎える。
でも、まぁ本番は7つの殺人密室なわけで、そこに期待を繋ぐ。
 
ってぇわけで、蓋を開けてみると、タイトルに示されている通り、
”密室殺人”ではなく、”殺人密室”だった。
あらかじめ館自体に殺人トリックの仕掛けが施されてるという大前提だったのね。
 
う~ん、これはあらかじめ”叙述トリック作品”だと知らされて読むミステリみたいで、
味気ないことはなはだしいもんになってしまいそう。
それがわかってても騙される作品という秀作は数多いけれど、さて、本作はどうか。
 
おそらくストックの中でも最上位レベルの一つを出してくるであろう
第一の事件なのに、この「墓標館の殺人」のトリックは、あまりにもわかりやすすぎ。
 
う~ん、相当に気合いの入ってるはずの第一の事件がこれでは、
意想外に期待外れだったかも。既に買ってある2巻に望みを繋いではみるが。
 

奇妙な光線

先週の金曜日はまたまた休暇を取得して、多摩センターまで歩きing。片道1時間43分、11,734歩。目的も欲しいので、イオンシネマで「罪の声」を鑑賞(新百合でもやってるけど)。土日は近場の買い物や庭の草むしりや芝刈りをして過ごす。今日は髪を切って、町田で買い出し。

1.は「仕掛け番長」のお薦め作品。ずっとチェックリストに入ってて、ようやく百円棚で発見。2.は昭和30年代の16短編。

ノッキンオン・ロックドドア2

ノッキンオン・ロックドドア2 (文芸書)

ノッキンオン・ロックドドア2 (文芸書)

  • 作者:青崎有吾
  • 発売日: 2019/11/22
  • メディア: 単行本
 
1作目は16年度の第3位に入れたほどの作品。
 
さすがにそれに比べると、全体的なレベルは落ちてるような。
 
でも、まぁ派手さは無くても、青崎有吾らしいロジック展開は
随所に見られて、本格ミステリとしては充分優秀な作品。
 
ベストは「穴の開いた密室」だな。
真相の飛び具合とロジックのバランスが絶妙。
両方の要素が良い具合に絡み合って、秀逸な作品になっている。
 
次点は「消える少女追う少女」かなぁ。
うっちゃりな真相の意外性が一番心惹かれた作品。
 
ただ本作のメインである最終話の「ドアの鍵を開けるとき」。
主要登場人物4人の過去が明かされるのだが、
動機とそのもたらす結果とが、どうにも説得力を持ってなくて、まるで絵空事
元々HOW専門、WHY専門など、ラベルリングされた人物設定で、
そもそもFiction要素高めなのだが、それが承知の間は何の問題も無い。
でも、変に肉付けしようとすると、こんな風に失敗すると気持ち悪さが強めに感じられる。
金田一君の高遠みたいにFictionに振り切っていれば、全く違和感ないのに。
 
そんな問題は感じられたけど、随所のロジックはやはり気持ちよいので、採点はギリ7点。
 

あしあと探偵 1巻

 
まだまだシリ漫続(しりまんぞく)キャンペーン中。
 
「探偵」がタイトルになってるけど、ミステリではない。
(広義のミステリに分類出来なくはないだろうけど、
 少なくともミステリ趣味が主眼の作品ではない)
 
「探偵」という職業の人が描かれているだけの話だ。
 
なんだけど、意外にもこれが結構いい。
 
全部の話が人情物として非常に読ませる作品になっている。
 
全く期待してなかったけど、これは嬉しい想定外。
2巻で完結してるようだし、比較的安めで見つけたら"買い"だな。