- 作者:青崎有吾
- 発売日: 2019/11/22
- メディア: 単行本
1作目は16年度の第3位に入れたほどの作品。
さすがにそれに比べると、全体的なレベルは落ちてるような。
でも、まぁ派手さは無くても、青崎有吾らしいロジック展開は
随所に見られて、本格ミステリとしては充分優秀な作品。
ベストは「穴の開いた密室」だな。
真相の飛び具合とロジックのバランスが絶妙。
両方の要素が良い具合に絡み合って、秀逸な作品になっている。
次点は「消える少女追う少女」かなぁ。
うっちゃりな真相の意外性が一番心惹かれた作品。
ただ本作のメインである最終話の「ドアの鍵を開けるとき」。
主要登場人物4人の過去が明かされるのだが、
動機とそのもたらす結果とが、どうにも説得力を持ってなくて、まるで絵空事。
元々HOW専門、WHY専門など、ラベルリングされた人物設定で、
そもそもFiction要素高めなのだが、それが承知の間は何の問題も無い。
でも、変に肉付けしようとすると、こんな風に失敗すると気持ち悪さが強めに感じられる。
金田一君の高遠みたいにFictionに振り切っていれば、全く違和感ないのに。
そんな問題は感じられたけど、随所のロジックはやはり気持ちよいので、採点はギリ7点。