新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ブルーホール

 
シーラカンスという存在が、良い意味で説得力を持っていて、
荒唐無稽の話なのに、リアリティを生み出しているのがとても良い。
 
ブルーホールという設定を、チャールズ・ホークのブルーホール計画という
壮大な構想に結びつけたことが、本作を傑作たらしめた一つの大きな要因だろう。
賛否は抜きにして、これが時間物のパラドックスと、恐竜の絶滅という歴史的事実を
上手く融合させているところも巧みだ。
 
また、この構想も転換点で二転三転して、最後までサスペンスを生み出す要素に
なっていて、これが作品のダイナミックスさを形成している。
 
また、もう一つの成功要因は、やはり恐竜の描写だろうな。
星野之宣の画力で、生き生きと描き出されていて、これまたリアル。
 
このリアルさがあってこそ、読者を白亜紀の冒険へと、
一緒に連れ出していってくれるのだ。