- 作者:倉知 淳
- 発売日: 2020/12/21
- メディア: 単行本
十五年ぶりの猫丸先輩シリーズ。
前作の感想で、次の巻は「夢想」「迷妄」「与太」あたりかと予想してたんだけど、
正解は「妄言」でした。「迷妄」は結構いいセンいってたな。
自分は倉知淳の”ぶっとび日常の謎派”なところが好きだったんだけど、
巻を追う度にどんどんちまちました話になってきて、
本作に至っては、もうほぼ単なる”日常の話”だなあと。
例外に数えられるとしたら、唯一「恐怖の一枚」くらいかな。
ただ、ぶっとんではいないなりに、二段構成の飛び構造で、
それぞれに落差が設けられているが工夫の跡。
猫丸先輩の人を喰ったようなたとえ話が先にあって、
それを踏まえての真相解明なんだけど、
普通の階段みたいに一歩上がってまた一歩、なんつう親切構造では決してない。
全く見えてない次の段に、いきなり突き落とされたりとか、
そういう落差で”ぶっとび”が演出されているようだ。
久しぶりのその感触が意外に心地良かったので、
真相はみんな平場にあるような作品ばかりだったけど、採点はギリ７点で。
ベストは剣呑なたとえ話からの、ほのぼの真相への着地が魅力的な表題作だな。
