新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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摩天楼のクローズドサークル

原書房様からの頂き物。いつもありがとうございます。

本当の作者はリチャード・デミングという人。
代作者としては最多の冊数を誇るそうなので、リーの信頼を受けていた人物なのかも。
 
その要因がこれなのか、本格ミステリとしてちゃんとしている。
ロジカルに納得のいく結末で、手続きもきちんとしている。
(勿論、クイーンのような論理のアクロバットは無いけれど、
 そもそもそんなのはクイーン以外には皆無に近いわけだし)
 
トリックはたしかに古めかしさはあるけれど、
それを補うのが設定やストーリーの面白さ。
 
何せ歴史的事件のニューヨーク大停電の日という設定。
蝋燭やランタンの灯りだけが舞台を照らしている。
 
これが解決シーンの外連味に繋がってるあたりが巧みだろう。
ちゃんとこういう設定を活かす仕組みになってるんだよね。
 
そんな中で、隻眼の警部(探偵役)と、タフガイの私立探偵のコンビが、
もてにもてまくるという展開も、一つ楽しさの要因。
しかもそれって、本作だけじゃなくて、毎回それっぽいみたいだな。
 
真っ当さとユニークさの両方を兼ね備えた良作。採点は7点。