- 作者: ケン・リュウ,古沢嘉通,牧野千穂
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/04/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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同じ中国系アメリカ人SF作家の作品というだけでも、ついつい期待してしまう。
しかも表題作は史上初めてのヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞の三冠らしいし。
そんな期待感の中、手に取った本書だが、
ある意味期待は叶えられ、ある意味期待は裏切られた。
まず、当たり前の話かもしれないが、テッド・チャンとは作風が全く違う。
圧倒的な想像力と、壮大なビジョンで、めくるめくセンス・オブ・ワンダーを
味合わせてくれるチャンに対し、
比較的ありがちなSFの種を使って、センチメンタルな作品を紡ぐリュウ。
中国系の要素は感じられないチャンと、色濃く現れるリュウ。
根本のアイデア自体の独創性は弱いが、それを作品として紡ぎあげる力と、
底辺に流れるセンチメンタリズムを好むかどうかが、評価のカギだろうか。
また、オリエンタルというか、中国風な雰囲気が好きかどうかも。
テッド・チャンほどのドSFではなかったものの、非常に良質の
短編集であることは間違いないと思う。なので、採点は8点。
個人的なベストは「良い狩りを」かな。
「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」「波」でベスト3。