新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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神様がうそをつく。

 
ボーイ・ミーツ・ガールの物語だし、
子供達だけの逃避行がクライマックスの作品だけど、
そこから想像される甘々な話では決してない。
 
ネグレクトの児童虐待や、それにも関連する悲惨な
事件なども描かれている。
 
ただ、それにしては突っ込みが足りないというか、
深さが今ひとつな印象は受けてしまった。
 
こういう親が信じられないし、心底許せないだけに、
こんな軽薄な描写だけで終わってしまうことが、
許容しがたく思ってしまうって要素もあるんだろうけど。
 
タイトル買いした作品だったけど、
そのタイトルの意味が語られるシーンは非常に良かった。
ここは本書の白眉だろう。
 
その意味では買って良かったんだけど(百円棚だし)、
ただ、やはりどこかの方向にもう一歩踏み出して欲しかったという
もどかしさが少しだけ残った作品ではあった。
 

クレヨンしんちゃんベストセレクション ちょっといい話がいっぱい!!編 パート2

 
タイトルに偽りなし。
「ちょっと」だけ「いい話」が「いっぱい」収録されてる。
 
ほっこりできるって感じの作品集かな。
 
日常の優しさが染み出る作品もいいけど、
最後の方にまとまってる非日常の諸作品も良かったな。
 
百円棚で見かけることがあったら、パート1の方も買ってみよう。
 

Gのサムライ

Gのサムライ (torch comics)

Gのサムライ (torch comics)

  • 作者:田中圭一
  • 発売日: 2016/04/15
  • メディア: コミック
 
バカバカしくて(褒め言葉だよ!)、変態(褒め言葉だってば!!)
 
『マンガ史上最ゲスの島流し童貞活劇。』という惹句も納得。
まぁ島流し童貞活劇ってもの自体が唯一無二だろうしな。
 
しかし、よくぞこんなに、とは思うな。
あの手この手で。
 
きっとこんな妄想力で人は色んなものを生み出してきたんだろうなぁ~
 
しみじみ(笑)
 

不思議図書館

 
こちらは文庫版。
『スロップマンションにお帰り』収録の全作品に、
シリーズ作品の単行本に収録されていた三編をプラスしたもの。
 
『人形芝居 1』に収録されていた「雪語り春待ち」は既読だったので、
未読は「彼方からの手紙」「散らない花」の二作品のみ。
 
「彼方からの手紙」は主人公の女の子の気持ちや感情が
はっきりと読み切れなくて、もどかしさを感じた。
読者に想像させる方を選んだのかもしれないけど、
どちらだったのかはほのめかして欲しかった。
 
「散らない花」は女子校、女子寮と来たら、
お約束の百合模様は欠かせない。
眼鏡優男教師への主人公の片恋模様を絡めて、
最後にはファンタジー譚に落ちていく。
 
全体のベストとなれば、やはり「あじさいの庭」だけど、
『スロップ』収録以外の作品だと、「散らない花」かな。
 

忘れ雪の降る頃

 
これも同じく『人形芝居』の作者の短編集。
 
全般的にミステリタッチの作品集に仕上がっている。
けど、ミステリ漫画として読むには内容的に薄いな。
 
基本ファンタジー系の方が、作者の画や作風に向いてるように思う。
 
表題作と怪異譚の謎解き物である「帝都南天隊」と
手品師を絡めた百合模様の「デイジー・トリック」の三作品。
 
ベストを選ぶなら、学園七不思議の謎解きが含まれた表題作に
なることはなるんだけど、この主人公の男の方のやり方に腹が立つ。
 
こんな風に女の子を扱えるような男と付き合ってても、
この先幸せになれるようには思えんのだけどな。