新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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25時のバカンス

 
前作の「虫と歌」の感想はコチラ
 
センス・オブ・ワンダー”とも違う、”すこし不思議”とも違う。
でも、なんだか、何かが身体の奥から呼び起こされるような、独特の読み味がある。
 
SFともファンタジーとも括れない作品で、いっそ幻想小説と呼ぶべきなのだろうか。
作品の中身自体は完璧に忘れているので、見当違いなことを言っているかもしれないが、
山尾悠子を最初に読んだときの感触に近いような気がする。
 
「虫と歌」を読んだときには、「解釈しなくちゃいけない」というストレスを感じたけど、
こちらは、それなりに素直に受け容れられたような気がする。
作品が変わったのか、自分が変わったのか、どちらかはわからないけど。
 
「25時のバカンス」「パンドラにて」「月の葬式」の3編が収録されているが、
奇想度合いも切なさ度も拮抗していて、「25時のバカンス」「月の葬式」の
どちらも落とせない。同率ベストで。
 
読むべき作者なのかもなぁ。「宝石の国」全13巻か。候補に入れておくか。