妖女伝説 1巻
1巻の収録は「砂漠の女王」と「蜃気楼(フォタ・モルガーナ)」の二作品。
250P超の圧倒的なボリュームだけあって、「砂漠の女王」がもう圧巻。
エジプトの女王クレオパトラが、王家に伝わる”魂(バア)転生の秘法”によって、
三度蘇る様を、圧倒的な画力と想像力で描き出す傑作。
三人の有名女性を繋いで(三人目のゼノビアは馴染みが薄かったが)、
一本の筋を通して、バアの秘法と大神官ソロンの意想外の正体が
明らかになるラストまで、もう完璧な出来映えとしか言い様がない。
中でも中盤のサロメ編は、クレオパトラとの関連性は希薄であったにしろ、
妖女テーマ作品の中に、ヨハネとイエスという二人の救世主を持ち込むことで、
既存の宗教観を180度覆すような壮大なテーマすら忍ばせてくれる。
読み終えた後に、溜息を漏らさざるを得ない、神作だった。