新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

伊藤典夫翻訳SF傑作選 最初の接触

 
前作は”時間・次元テーマ”ってのが、性に合ってたからだったのか。
宇宙編の本作は、残念なことにほとんど自分に響いてくる作品は無かった。
でも、次のテーマも出たら読むつもりだ(一体なんだろう?)。
 
「最初の接触マレイ・ラインスター
こういう考え方がスタンダードだった時代があったということかな。いかにもな古典。
今は当然違うだろうけれど、現代の理論的考え方はどうなってるんだろうかと気になる。
 
「生存者」ジョン・ウインダム
SFホラーの一つの基本形。う~ん、結末は途中で見えてても、やはり読後感が……
 
「コモン・タイム」ジェイムズ・ブリッシュ
光速を越えた際の時間感覚の描写が非常に興味深かった。この着想だけの短編を読みたかったなぁ。
 
「キャプテンの娘」フィリップ・ホセ・ファーマー
火星とか金星とかの懐かしのヒーローSFの雰囲気。たしかに昔の王道の一つ。
 
「宇宙病院」ジェイムズ・ホワイト
ある意味ハチャメチャSF。4文字分類の詳細設定があれば知りたい。
 
「楽園への切符」デーモン・ナイト
宇宙のどこにたどり着くのか、行き先も定まらない一方通行の旅なのに、予感の余韻が良い。
犯罪抑止のために“分身”という施術で精神管理されているというサブアイデアもなかなか。
 
「救いの手」ポール・アンダースン
文明論とでも云うのか、哲学的な話。なんとなく回りくどくて読み辛かった。
 
飛び抜けた作品は全然無いんだけど、ベストは「楽園への切符」かなぁ。
古典の型を示した「最初の接触」と、シンプルに「キャプテンの娘」でベスト3。