新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

震度0(ゼロ)

震度0

震度0

横山秀夫を読むには短編が良い。
氏の組織小説としての主なモチーフは、出世欲であり、自己保身である。これに相反して自己矜持も描かれるが、あくまでも対立軸としての扱いになりがち。この醜悪な様相を延々と長編で見せつけられるのは、あまり快感にはつながるまい。短編であればミステリとしての切れ味で救われるが、余程のネタでないと長編は支えきれない。本作を読んで、そう実感した。