- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/03/20
- メディア: 単行本
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「氷菓」のアニメ化もあったりして、いまだに氏をラノベ系の作家と捉えている人もいるかもしれないが、そういう人に差し出すには本書が最適ではないかと思う。
ミステリとしての種を非常に丹念に短編として結実させた作品集。
手間暇かけて、丹精込めて、じっくりと書き込まれたことが容易に想像できる。
本格ミステリは一編も無く、決してミステリとして力強い作品ではない。
しかしながら、こういう作品であってもきっちりと伏線を張り巡らしているあたり、本格ミステリの文法を熟知している作者ならでは。
本格者にもアピールできる非本格作品集に仕上がっている。
ホワイダニットが多くの謎の中心を為しているのも大きな魅力。
そういう意味でも、考え落ちにも程があると思えるほどの意外すぎる動機の表題作、動機の怖さがホラー領域の「柘榴」、動機のミステリ性が本書で一番の「夜警」でベスト3とする。
元々実力のある作家で自分としては当然だと思うのだが、「化けた」と評されてもいい作品集だと思う。
非本格ながらも、採点は7点としよう。