新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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深夜の証明

金曜日は微熱(朝一で計って37.4℃)と、全身のだるさで、出社予定を取りやめてテレワークに。
ちょっと喉も怪しくなりかけてたけど、早めの風邪薬が結構効いた感じだったな。
悪化はしなかったので、土曜日まで用心して家で大人しくして、昨日はリハビリで新百合まで片道の歩きing。
 

  • 昨日のブックオフ新百合ヶ丘オーパ
    1. ミッドナイトブルー 須藤祐実 フィールC ¥110
    2. Q.E.D.iff-証明終了- 14 加藤元浩 マガジンKC ¥110
    3. Q.E.D.iff-証明終了- 15 加藤元浩 マガジンKC ¥110
    4. Q.E.D.iff-証明終了- 18 加藤元浩 マガジンKC ¥110
    5. Q.E.D.iff-証明終了- 19 加藤元浩 マガジンKC ¥110

1.はほぼ装丁買いの作品。裏表紙の粗筋がちょっとファンタジーっぽくて、かつ「新世代の叙情派ストーリーテラー」という肩書きにも惹かれて。2.~5.は残念ながら17巻は抜けてたけど、一気にこれだけ百円棚で揃ったのは嬉しい。19巻なんて6月に出たばかりなのに。そんなに用事は無かったけど、新百合まで行った甲斐があった。
 

女神の見えざる手

TSUTAYA西友町田店の110円クーポンにて鑑賞。

 
ロビイストってのは、自分にとってはほぼ完璧なほど謎の存在。
 
自分の業務的には、安全規格や規制の施行日延長を願ったり、
業界統一のフォーマットを作成したりするときなんかに、
どこかでだれかがどうにか動いて、有利な方向に持って行ってくれてる
その”だれか”の中にきっと含まれてる存在なんだろうけど。
 
でも、正直、自分にとってのロビイストって、
外国人にとってのNINJAと、さほど違いは無いんじゃないかと思えるほどの存在。
 
まぁ本作のヒロインなんて、充分NINJAに近いと言えるかも。
忍術の代わりに、頭脳と口(と若干の色気)を駆使してるだけで。
任務のためなら、一切の手段は選ばず、情は不要。
アクションシーンが無いだけの、まるっきりスパイ映画だもんね。
 
いやあ、なかなか堪能した。
めまぐるしい権謀術数と、丁々発止の口舌対決、
議員の数値で戦況が見えるようになってるので、
高度なやりとりが繰り返されても、展開が追いやすい。
 
でもって、鮮やかな逆転劇。
とはいえ、爽快とは言いがたい結末ではあったけどね。
 

アウェイク

TSUTAYA西友町田店の110円クーポンにて鑑賞。

 
まずやっぱ術中覚醒ってのが怖いよね。
米国では毎年2100万人以上が全身麻酔を受けて、そのうち約3万人が術中覚醒に
なってしまうんだとか。身体は完璧に動かないのに、意識だけが覚醒するなんて。
考えるだに恐ろしい。痛みの描写が強烈すぎない程度に描かれているのが救い。
 
その術中覚醒状態でのサスペンスやスリルだけでなく、
謎解きまでやらせちゃうという作品。
 
まぁありがちっちゃぁありがちだけど、
なかなかに意想外な真相や意想外な展開やらと、
そこそこの良作だと思えた。
 
ジェシカ・アルバ可愛いし。
 
ただ、考えてみたら、主人公の視点で映画観てた間は気付かなかったけど、
結局彼ってただ脳内で被害者かつ探偵やったり、死んだりしてただけで(笑)
事件の顛末には何一つ影響無しだったんだよね(笑)
 

どこかにある学園の情景

先日TSUTAYA西友町田店で5本借りた際に、「生きていた男」があるのを発見。
比較的最近発掘された伝説のどんでん返し映画で、観たくてたまらなかったもの。
その時は借りられてて無かったので、今日町田まで歩きingした際にようやくGet。
今回もまた5本借りてきてしまったので、感想はおいおい。前回のもまだ3本残ってるし。
 

1.,2.はこういうアンソロジーを百円棚で見つけると嬉しくなる。どちらにも奈知未佐子萩尾望都が入ってるのも嬉しい。3.は石ノ森章太郎の漫画の書き方指南や自作解説、自伝からキャラクタ図鑑までと、無茶苦茶盛り沢山な本だな。
 

Ark アーク ベスト・オブ・ケン・リュウ

 
新書版の「紙の動物園」一作しか読んだことの無かった作家だが、
改めてこの傑作集で読んでも、ほぼ同じ感想を抱いてしまった。
 
その感想で書いたように、「比較的ありがちなSFの種を使って、センチメンタルな作品を紡ぐ」
というのが、やはりケン・リュウ作品なのだと、再認識してしまった。
 
センチメンタリズムとオリエンタリズム
たとえば「草を結びて環を銜えん」なんて、既にSFですらなく、
この二つの要素だけで紡がれた作品とすら思えてしまう。
ただ、この作品として紡ぎ上げる力は半端無いので、
結果的には凄くいい作品になってはいるんだけど。
 
そういう意味で、SFとして凄く読みたいかというと、
そうでもないなぁと思ってしまうのも事実。
センチメンタリズムが根本的に大好きな自分であっても、さえ。
やっぱSFはそのアイデアとか、センス・オブ・ワンダーを味わいたいんだよなぁ。
 
そう言いながらもベストは「母の記憶に」で。
浦島効果をセンチメンタリズムだけで描いた作品なんだけどね。
第二位は「良い狩りを」で。上記でもベストに選んでるけれど、
本書中でもやはり最もセンス・オブ・ワンダーを感じる作品。
第三位はセンチメンタリズムから云えば、「紙の動物園」とか
もののあはれ」になるんだろうけど、それらを押し除けて、
本書中最もアイデアが光る「結縄」を選んでみることにしよう。