- 作者:章子, 深木
- 発売日: 2020/02/15
- メディア: 単行本
流石だなぁ。
70代のおばあちゃん作家とはとても思えぬ柔軟さ。
本格ミステリとしての精度の高さに、いつもながら驚かされる。
60過ぎのデビュー当時から、構図の意外性に驚かされっぱなしだが、
わずか二人の書簡という極限の場でも、その特徴が見事に活かされている。
明らかにバークリーを意識した、敢えての「毒入りチョコレート事件」。
手紙が届く度にひっくり返される事件の構図。
そして、それら全体に仕掛けられた、巧みな企みの構図。
凄い!
この書き手の構図の描き方には心底感心してしまう。
採点は7点。昨年の長編としては、小林泰三、門前典之を越えて、
本作をベスト1としたい。全体としても第3位としよう。