新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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最高のドラゴン(関東甲信越大会を終えて)

昨日がNHK全国学校音楽コンクールの関東甲信越ブロックコンクール小学生の部の開催日。
 
その前日、土曜日に開催された中学校の部では、地区の中学が全国大会出場を決めている。
夫婦で赴任してきて、奥さんが小学校、旦那さんが中学校で、それぞれ合唱部の顧問となって、どちらも全国大会進出を複数回実現させてくれてるのだ。でも、まだアベックで出場を決めたことはない。
今年こそは!!!
 
関東甲信越、各都県の代表達が15校。
都大会ではまだ上下のレベル差はそれなりに感じられたけど、ブロックになるとやはりどこも素晴らしい出来映えで、感嘆させられる。それでも個人的に頭一つ抜きんでてると感じられたのが、同じ東京代表校である七生緑。
 
ちなみに今年のNコンは「ドラゴン祭り」とも噂されるくらい、自由曲に「僕のドラゴン」を選択する小学校が多い。
関東甲信越ブロックでも、なんと15校中6校もが選択。実はそのうちの一校がうち。
ドラゴンを歌う学校としては一番目の出場だったけど、都大会よりも更に磨きがかかった素晴らしい演奏を魅せてくれた。
これなら……。親としては期待が高まる。
 

 
そして、いよいよ発表の開始。
全国大会に進出できるのは金賞の三校のみ。その他今年は銀賞が1校、銅賞が4校。発表は出演順。
 
まずは最初の銅賞校の発表。呼ばれませんようにと祈る。
ところが、アナウンサーの最初の発声が、まさかの「東京都代表」だった!
成城は出演順最後なので最初に呼ばれることはあり得ない。七生緑の1枠確定は堅い。ってことはうち?!
間としては2秒に満たないはずなのに、落胆が身体を突き抜けようとした次の瞬間、「日野市立」と声が続いた。七生緑、まさかの銅賞。
 
都大会本選で星美が銀賞で呼ばれたときの会場の雰囲気は、驚愕の「!」(ビックリマーク)だったが、今回の会場はまさかの困惑「?」(クエスチョンマーク)。つんつんと飛び出す「!」のどよめきではなく、くねくねと整理の付かぬ「?」のざわめきが会場に渦を巻く。
 
サプライズの後の二校目の発表、再び祈りの体勢。
ここで自分達を飛び越えてくれた。もう銅賞はない。きっと入賞は出来るものと信じている。だとするとあとは唯一、銀賞さえ免れれば……
 
銅賞四校が終わって、いよいよ問題の銀賞の発表。
 
「と」以外、「と」以外、「と」以外、「と」以外、「と」以外……
 
しかし、またもや響いてきた言葉は「東京都代表」!
「ええー」と思わず悲痛な声が漏れてしまう。でも、まだ二校ある。どちらでもあり得る。
 
運命の二択。
一瞬のはずなのに、何十秒にも思える、長い長い長い間。
 
「町田市立……」
 
祈りは届かなかった。
成城関係者の歓声が満ちる中、落胆に崩れ落ちる。
 
……娘達の夢が終わった……
 
 
 
閉会後、娘達の様子を見に行った。
誰よりもひときわ大きな声を上げて、泣き崩れてる娘。
でも声はかけなかった。かみさんや自分と会ったら、もっと泣きじゃくってしまうだろうから。
子供達は一緒にバスで帰るので、二人で会場を後にした。
 
でも立派だよ。
関東甲信越で銀賞なんだもの。
全国に紙一重のところまで迫ったんだもの。
その一重がたしかにとっても大きな境目であるとはいえ。
 

 
ここからはただの身びいきと思われてもいい。だけど、これが本心だ。間違いないと信じてる。
 
歌詞を本当に解釈して表現できていたという点で、娘達のドラゴンに比せるところはなかった。
ネットの音源では伝わりにくいかもしれないが、強弱やメリハリや言葉の伝え方で、この歌の、そして歌詞の世界観を一番表現できていたはず。
歌という力だけではない、そこから物語が溢れ、子供の心が伝わってきた。
会場にはきっと、審査員さん達にもきっと、届いていると信じていたのだけど。
 
それに決してお仕着せばかりじゃない。
彼女たち、彼らたちで、自身で色々考えて、それを提案して、組み入れて、
そんな風にして、みんなで造り上げたドラゴンだってことを僕は知ってる。
 
 
娘よ、誇れ!
最高のドラゴンだったよ!